自閉症スペクトラム当事者からみた特別支援教育(NPO法人東京都自閉症協会 綿貫愛子先生):校内研修シリーズ №70

NITS独立行政法人教職員支援機構
15 Feb 202021:05

Summary

TLDRこのスクリプトは自閉症スペクトラム障害(ASD)を抱える者やその家族、教育関係者を対象とした講義です。綿貫愛子氏がASDを持つ人々が持つ独自のコミュニケーションスタイルや行動パターンを尊重し、支援の姿勢として共有経験を通じた発達の支えを重要視しています。研究紹介を通じて、ASDの人々の心理的発達やコミュニケーションの特徴、自己理解の重要性について考察し、支援の方向性について考えを深めています。

Takeaways

  • 🌟 自閉症スペクトラム障害(ASD)の人々には、彼ら自身の意味があり、特別支援教育においては彼らの独自のスタイルを理解することが重要である。
  • 👶 特別支援教育において、子どもたちが問題行動と呼ばれることが多いが、彼らは期待される言動がわからないため、自己流で頑張っていると捉え方するべきである。
  • 🔍 ASDの人々は、定型発達の人たちとは異なるコミュニケーションの様式を持っており、彼ら独自の「自閉的社会性」を形成している。
  • 🤝 ASDの人たちはお互いに共感しやすいが、一般の人々にそうではないとされる。これは「類似性仮説」と呼ばれる新しい概念であり、彼らが自分と似ている他者に対して共感できることを指す。
  • 💭 ASDの人々の心の発達は、一般の人たちとは異なるプロセスを経ていて、直感的心理化や命題的真理化という異なる能力を形成している。
  • 🗣️ ASDの言語の特徴として、彼らは自分の望む行動を単純に要求するのではなく、コミュニケーションを通じて共有されるやりとりを好む。
  • 🎨 ASDの人たちには独自の「様式美」があり、これは彼らの繰り返し行動や特定物や状況へのこだわりから生まれる。
  • 🔬 ASDの人々は細かい情報に注目し、その詳細を深める傾向があり、これは彼らの「中枢性統合障害」と関連している。
  • 🧩 自己理解は、単に自己そのものだけでなく、周囲の環境や他者との相互作用を含めた概念であり、特別支援教育においてはこれらの側面を理解することが重要。
  • 👥 関係の発達を支援する視点は重要で、ASDの人たちが持つ独自の感覚や理解に寄り添い、共感し合うことが支援の鍵である。
  • 🛠️ ASDの支援においては、発達障害を克服するという目標から、本人の特性を活かす「特性を使いこなす」という新たな支援の方向性への脱却が求められている。

Q & A

  • 綿貫愛子さんはどのような立場から講演を開始しましたか?

    -綿貫愛子さんは東京都自閉症協会の立場から、自閉症スペクトラム障害当事者から見た特別支援教育についての講義を開始しました。

  • 自閉症スペクトラム障害の症状には本人たちなりの意味があるという考え方について説明してください。

    -綿貫さんは自閉症スペクトラム障害の症状には、当事者自身が持つ独自の意味や価値があると考えています。

  • 特別支援教育において、子供たちが問題行動と呼ばれることが多い背景には何がありますか?

    -子供たちは期待される言動がわからないため、自己流で頑張っていると見なされています。これは問題行動と呼ばれることがありますが、本当は彼らの独自のスタイルです。

  • 自閉症スペクトラム障害の人々が定型発達の人々のコミュニケーション様式に馴染みにくい理由は何ですか?

    -オックスとソロモンさんの研究によれば、ASDの人たちはコミュニケーションに障害があるわけではなく、定型発達の人たちが使っているコミュニケーション様式に馴染めないだけです。

  • 自閉症スペクトラム障害を持つ人々同士のコミュニケーション様式の特徴は何ですか?

    -会話の連鎖が短かったり、感情表現が控えめであるなどが自閉症的コミュニケーション様式の特徴とされています。

  • 米田先生の研究でASDを持つ人が他者に対する共感がどのように変化する可能性があるか説明してください。

    -米田先生の研究では、ASDを持つ人は、自分と似ている他者に対しては共感できるという新しい概念が提案されています。これは類似性仮説と呼ばれています。

  • ASDの人たちはどのように心の議論を獲得するのかについて別府先生の研究はどのような結論に達しましたか?

    -別府先生の研究では、ASDの人たちは心の議論の獲得が遅れず、命題的真理化という力で推論を行っていくと示唆されています。

  • ASDの言語特徴として、頭をツンツンしてほしいと母親に言う場合、どのようなコミュニケーションが行われていますか?

    -頭をツンツンしてほしいと母親に言う場合、それは単純な要求ではなく、子どもが好む刺激を共有するコミュニケーションスタイルです。

  • ASDの人々が持つ独自の感覚や理解をどのように支援するべきかについて説明してください。

    -ASDの人たちが持つ独自の感覚や理解に寄り添い、共感する支援の姿勢が重要で、彼らの特性を活用し、自己流で頑張ることを支援することが求められます。

  • 特別支援教育において、発達障害を持つ子どもたちを支援する際のキーワードとして挙げられた「自己理解」とは何を指しますか?

    -「自己理解」とは、子どもたちが自分自身や周囲の環境、他者との相互作用を知覚し、自己の存在を規定する能力を指します。

  • ASDの場合、感情と体の状態を認識することはなぜ難しいのでしょうか?

    -ASDの場合、自分の体の状態に気づくことが難しく、感情のラベリングをすることが困難であることが知られています。

  • 関係の発達を支援する際のアプローチとして、間主観的アプローチとはどのような姿勢を指しますか?

    -間主観的アプローチとは、子どもが現在何に関心を持っているかに注目し、その視点を共有する姿勢を指しています。

  • ASDの特性を使いこなす支援の方向性について、どのように子どもたちにアプローチすべきか説明してください。

    -子どもたちには社会的知識と自分たちのデザインやスタイルを組み合わせて、特性を活用し、個性的な力を肯定的に支援することが重要です。

  • 講演の最後に引用された玉井邦夫先生の言葉とはどのような内容ですか?

    -玉井邦夫先生の言葉は、子どもたちを発達的に見るためには、彼らのできないことが以前と違ってきていることを見つけることが大切だとしています。

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